問題が発生した場合、深く考えずに取り敢えず「打ち手」を検討していませんか・・・？
●問題解決の流れとは 私自身、現在は多くの企業で問題解決研修を行っていますが、問題解決という言葉は最近非常によく耳にするようになってきました。問題解決とはどのような考え方なのでしょうか。 簡単な例でたとえてみましょう。例えば、あるお店で「売り上げが下がっているんだ。どうしよう」と相談された時に、皆さんなら何と答えますか？ 「広告を打てば？」「新しい品物を置いてみたら？」といった答えをまず思いつく方もおられるかもしれません。しかし、広告を打っても商品に魅力がなければお店に来ても買ってくれないでしょうし、新しい品物を置いてもお客様のニーズにあっていなければ買ってくれません。このようにいきなり「打ち手」を実行してしても、原因とは関係のない打ち手であれば、その努力は無駄になってしまいます。では原因から考えれば良いかというとそうではなく、そもそも、来客数が減っているのか、客単価が下がっているのか、購入率が減っているのか・・・といった、「どこに問題があるのか」という問題の所在から明らかにしなければ、客数が減っている理由、客単価が減っている理由、購入率が減っている理由、など全てを考えなければならず、非常に効率が悪くなってしまいます。 このように、問題解決を行う場合には、まずは現在、どのような「悪い現象」が起きているのかをしっかりと特定し、問題の所在を突き止めるところから始めなければなりません。それから「どういう理由でその現象が起きているのか」という原因を深堀し、最後に「ではどうすれば解決されるのか」という打ち手を立案するという流れが、私がいつも問題解決研修において話をしている、問題解決の定石となります。 ●How思考の落とし穴 私がビジネススキル研修で問題解決研修を行う場合において、必ず話をしているのが、この「How思考の落とし穴」という話です。 我々ビジネスパーソンは、社会人経験が長くなればなるほど、Howから考える癖がついて来ます。なぜなら、ビジネスでは「成果」を出すことを求められますが、「成果」は行動しないと出ないからです。行動を重視する結果、Howばかり常日頃考えてしまう癖がついてしまい、それを私は「How思考」と呼んでいます。Howは成果を出すためには重要ではあるのですが、「How思考」が行きすぎた結果、 １）考えずに行動する結果、無駄なことをする ２）行動が行き詰まった時に回避出来ない という状況に陥ることがあり、これを私は「How思考の落とし穴」と呼んでいます。 １）というのは、先程の「お店の売り上げが下がっている」の例で、何も考えずに広告を打った結果、「来客数は増えたが、肝心の購入率は上がらない」・・・というような無駄な行動をさしています。行動する時に、そもそもどこの問題に対して、何の原因に対して、アクションしているかがわかっていないと、問題解決にはならないということです。 ２）については、良く言うたとえですが、喫茶店で「冷たいお水を下さい」といって「冷たいお水はありません」と断られたとしましょう。でも隣の人には、冷たい麦茶が出されていたとします。店員さんは「冷たいお水」というHowをHowとしてとらえたので「お水はありません」と断ってしまった訳ですが、「のどがかわいている」、「飲み物にはお金を出したくない」という、問題所在や原因を理解していれば、「お水はありませんが麦茶なら出せますよ」ということで、異なるHowを代替手段として提案出来たはずです。 問題解決研修においていつも強調していることなのですが、自分自身がHow思考に陥らないことも大切ですが、周囲の人をHow思考に陥らせないためにも、「どこに問題があって」「それはなぜで」「だからどうするんだ」というステップで問題解決を考えることが大切なのです。
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