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実業とは「十年の妙計」を真剣に考えること

2013年10月25日

終わりのない仕事にコミットし続ける気力を保てますか?
今日、9ヶ月のプロジェクトが終了した。打ち上げの席で、数年前の自分を懐かしく思い出していた。労をねぎらう側に居た自分が、今日こうやって労をねぎらっている。 コンサル会社に在籍していた頃、良く考えていたことがある。それは「何が虚業で、何が実業なのか」ということだ。コンサルタントは良く「虚業だ」と言われる。しかし自分は違うと思っていた。コンサル会社でも「実業」をしている人もいれば、事業会社でも「虚業」をしている人もいる。両者は何が違うのか。 私に言わせれば、それは「後を引き継ぐ人のことを、どれだけ考えた仕事をしているか」に他ならない。 長くても1つの会社に数ヶ月しか在籍しないコンサルタント。その中で、「自分のこと」「自分のキャリア」しか考えていない人は、自分たちが去った後に何が起こるか考えない。彼らはプロジェクトの終わりを「終わり」だと捉える。こういう人は「虚業」をしていると言われても仕方が無い。対して、同じ短期間しか在籍しないコンサルタントでも、「会社の将来のこと」を「広く・長く」真剣に考えている人は、プロジェクトの終わりを「始まり」だと捉える。こういう人は立派に実業をしているのだ。 会社に長く在籍している人でも、虚業をしている人は居る。「自分はあと×年で定年になるから」「自分はもうすぐ辞めるから」「ここから先はうちの部門には関係ないから」と考えて、いい加減な意志決定をしたり、無責任な発言をしたりする人は、事業会社に居てもやっていることは「虚業」である。 仕事には終わりは無い。終わりが無いから続ける責任がある。そして続ける責任があるからこそ、使命があるからこそ、仕事なのである。 「実業」をするためには、自分の後に続く人のことを真剣に考えなければならない。そのためには、物事には常に全力投球であり、常にコミットし、常に真摯に取り組む姿勢が必要である。目先のことだけを考えていてはいけない。かといって、あまりにも茫漠とした遠い将来を夢見ていてもいけない。 一年の計では短すぎる。百年の計では長すぎる。十年の計で良いから、コミットして、知恵を絞って、真剣に考えることが必要なのだ。 実業をするとは「十年の妙計」を真剣に考えることだと私は思う。 そのために、終わらない仕事にコミットし続ける気力を、いつまでも失いたくない。