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アビームコンサルティング

2014年06月13日

【PCU インタビュー④ 三木様(アビームコンサルティング)】
 
■インタビュイー:三木様
■お聞きするファーム:アビームコンサルティング
■聞き手:鈴木沙織(ADL内定者)
 
みなさま、こんにちは。
ADL内定者の鈴木沙織です。
 
今回はアビームコンサルティングの方にインタビューしていきたいと思います。
今回が初めての総合コンサルティングの方のインタビューになっております。
 
ではぜひ楽しんでください!
 
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■簡単なご経歴・現在のお仕事など
 
―こんにちは、鈴木と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。
 では、さっそくですが、三木さんのご経歴を教えてください。
 
三木さん「2006年に大学を卒業してアビームには約4年、在職しました。その後は転職してベンチャー企業で働いたり、フリーランスのコンサルタントとして働いたりしました。現在の仕事に繋がってくるのですが、知人と家庭向けシェフの出張サービスを立ち上げたり、ビリヤニというインド料理の飲食店を運営したり、といった飲食関連での起業もその頃に経験しました。ただ、自分で事業を立ち上げて運営してみて、私はあんまり向いていないなと思ったんですね。そこで、PR会社に転職して1年ちょっと働きました。その後はまた個人での仕事に戻って、4月からは大学院に通いながら新規事業のコンサルタントとして働く予定です」
 
 
■入社のきっかけについて
 
―では、入社のきっかけについて教えていただけますか。
 
三木さん「アビームは若いうちから主体的に仕事に取り組めそうな印象を持ったからです。人それぞれ、職場に快適なライフスタイルを求める人もいれば、自己成長できる環境を求める人もいると思うのですが、私の場合はこっち(自己成長できる環境かどうか)を重視していました。あと、日系の会社ならではのチームワークが良さそうだったのも魅力的でした。コンサルで内定を頂いた会社がアビームだけだった、というのもあるのですがね (笑)。今では、自分の性格や志向と合っている会社から内定を頂けたんだと思ってます。」
 
―そうですね、企業文化というのはそこで働かれている方が一番よく知っていると思うので、そういう文化に合いそうな人が内定をもらっているんでしょうね。
 
三木さん「そうですね」
 
 
■入社してからのお仕事について
 
―入社されてからはどのようなお仕事をしていらっしゃるのか教えていただけますか。
 
三木さん「取り組んでいた仕事は大きく分けて2種類で、一方は①業務系コンサルティングの仕事、もう一方は②IT系コンサルティングの仕事です。業務系では、とある会社の決算業務の確実性・効率性の向上や、内部統制構築といった経営テーマに取り組みました。
 
―勉強不足で申し訳ないのですが、内部統制構築とはどういうものなのでしょうか。
 
三木さん「内部統制構築とは、会社組織の業務の適性を確保するための体制を作ることで、利益隠しといった不正な会計報告が行われるのを防いだり、従業員が業務上の重大なミスを起こさないための仕組みを作ったり、といったことを目的としています。もとは2002年にアメリカで起こったエンロン事件(※1)を機に、不正を防ぐための仕組み作りが日本の上場企業でも義務づけられ、法律化されました。その当時、アビームはいち早く内部統制ソリューションを打ち出していたので、社内では内部統制バブルと呼ばれるほど、多くのプロジェクト案件を受注していましたね。」
 
※1エンロン事件:米国の巨大エネルギー会社エンロン社の簿外債務の隠蔽を始めとする不正を契機に、様々な会社の不正会計が明るみに出た事件。米国の会社のコーポレートガバナンスが問題になった。
 
―ありがとうございます。ではIT系コンサルティングのお仕事について教えてください。
 
三木さん「はい、IT系ではSAP(独SAP社が提供する、企業向けの業務基幹システムパッケージ)の生産管理システムの導入や、システム保守・運用といった仕事をやりました。アビームのHPにも事例掲載されている花王(株)のプロジェクトです。日本全国にもグローバルにも事業展開している大企業のシステム全体をリプレース(入れ換える)するとても大きなプロジェクトでしたよ。私は東北のとある事業所の稼働サポートの担当だったのですが、開発ベンダーも合わせて数百名が参画していたんじゃないでしょうか」
 
―何百人もプロジェクトにいるんですか!今までIT系のお話は聞いたことがなかったので、驚きました。
 
三木さん「システム稼働直前はまさしく「寝る間も惜しむ」ような状況で、徹夜続きの人が昼休みに机で寝てしまってたり、といったこともありましたね(笑)。プロジェクトメンバーもどんどん増えるのですが、次第にイスが足りなくなってしまって、一時的にパイプイスを持ち込んで缶詰めでやったり、とか(笑)」
 
―それは壮絶ですね。ではシステム保守・運用とはどのようなお仕事だったのでしょうか。
 
三木さん「システム保守・運用では、業務システムに障害が発生したらバグを見つけて修正したり、クライアント企業が実装したい機能を追加開発したり、といった仕事をしていました」
 
―1つのプロジェクトの期間はだいたいどれぐらいだったのでしょうか。
 
三木さん「そうですね、ばらつきはありますが大企業の業務基幹システムの刷新といったプロジェクトは、数年単位のかなり長期間の仕事になります。人によっては、1~3年といったスパンで同じプロジェクトで働くともあります。また、システム保守・運用は継続的に行うものなので、保守・運用に関わる人はさらに長期間、同じプロジェクト案件を続けますね」
 
―少し話は戻ってしまうのですが、配属の希望等はかなえられたのでしょうか。
 
三木さん「入社当初に事業部配属面談とアンケートがあったのと、あとは研修期間の振る舞いも影響してたんじゃないかと思います。成績が優秀かどうか、というよりも、部署ごとにカラーがあるので、やっぱりそのカラーに合う人がその部署に配属されていった印象です。」
 
 
■入社前後でのファームに対する印象の違い
 
―入社前後で会社に対して印象の違いはあったのでしょうか。
 
三木さん「アビームについて学生時代は耳にする機会がなかったのであまり印象が無かったのです(笑)。入った後にこういう会社だったんだ!と知ったことが多かったです。クライアントと一緒に仕事をしているときに、けっこうアツく信頼されているんだなぁ、と感じたとか。」
 
―なるほど。あとは日本の会社、ということでさきほどおっしゃっていたチームワークが重視される雰囲気というのもあるのでしょうか。
 
三木さん「そうですね。私が参加したプロジェクトでは、先輩方の面倒見が良かったり、助けあいながら仕事を進めたり、と雰囲気がよかったと思います。あと同期が最初120人ぐらいいたんですが、8年経ったいまでも多分、半分ぐらいの人たちはプロパーで働いていて、コンサルの中では離職率が低い方なんじゃないかと思います。」
 
 
■そのファームの強み・長所
 
―アビームの強みや長所について教えてください。
 
三木さん「アビームの特徴は大きく分けて2つあると思っています。1つ目は実行力。「リアルパートナー」というスローガンを掲げているのですが、アビームは泥臭いことであっても着々とやるところがあります。たとえプロジェクトの進行が難航しても、「言ったことはやりきる」というスタンスを貫いています。その実行力の裏付けになっているのが、業務・ITコンサルティングの知見が社内に多く整理されて蓄積されていることなのだと思います。
 
そして2つめはプロパー社員が長く勤めていること。新卒で入社して長く在職している方は、かつては先輩方に教わったということもあって、後輩社員の人たちに仕事を教えるカルチャーが浸透していると思います。アビームを辞めてから思うのは、人が育ちやすい環境をちゃんと整備している会社だったんだなぁということですね。あとは先にお話しましたが、チームワークの良さも日本企業的な風土の長所だと思います。」
 
―いま業務・ITが強みというお話があったかと思うのですが、業種としては製造・金融が強みと聞いたのですが、そこはどのようになっているのでしょうか。
 
三木さん「コンサルティング会社の業務は大きく、ソリューションの軸とインダストリーの軸で整理されます。(下図参照)インダストリーは、製造業、金融、物流といった業界の軸。ソリューションは戦略や人・組織、業務、ITといったコンサルティング領域の軸です。その掛け合わせでプロジェクトが結成されるのですが、アナリストからシニアコンサルタントはソリューション寄りの事業部に属していて、それより上のマネージャーやシニアマネージャー、プリンシパルといった人たちは業界寄りの事業部に属する、という組織構造になっています。アビームはソリューションだと業務・ITのコンサルティングが強いということです。」
 

 
―新卒採用のHPの中のインタビューページを拝見したときに、アナリストやシニアコンサルタントはIT系が多いのに、上のランクになっていくと製造統括部、といった方が出てくるんだろう、ととても不思議だったのですが、謎が解けました!
 そうすると実際に仕事をなさる際のチーム編成はどのようなものになるのでしょうか。
 
三木さん「商社業界に詳しいマネージャーがプロジェクトをリードし、HCM(ヒューマンキャピタルマネジメント)のスタッフがチームメンバーとしてアサインされる、であるとか、銀行の決算業務改革のプロジェクトでは金融業に詳しいシニアマネージャーと、会計に詳しいスタッフがメンバーになったり、と所属事業部を横断した編成が行われています。ちなみに、キャリアパスではスペシャリストとしてのキャリアを歩む人もいますし、ここは選べるところですね」
 
―また、アビームは総合コンサル、中でも業務・ITが強い、とのことなのですが、戦略もやっていますよね。これは会社の中でどのような位置づけなのでしょうか。
 
三木さん「おっしゃる通り戦略事業部があって、戦略コンサルタントもいます。アビームには『戦略から実行まで、一貫して支援する』という考えがあって、戦略コンサルティングの結果として、その後の実行手段として人・組織や業務、ITのコンサルティングニーズも出てくるので、その後の工程も支援するということです。だから、次フェーズ以降の実行イメージも持ちながら戦略コンサルティングを行う、ということが多いと思います。もちろん、戦略コンサルティングのみを請け負うこともあるのですが。」
 
―そうなんですね、全体像がなんとなく見えてきました。
 では2つめの強みについて、プロパー社員の方が長いとのことなのですが、長く働かれているのはなぜなのでしょうか。
 
三木さん「たとえ年次が若くても、積極的に意見を言うことが推奨されているから働きやすいというのはあるんじゃないでしょうか。あとは社員同士の仲がいい。業務を離れての部活動も盛んで、私は駅伝部に参加していたので、アビームの社名が入ったビブスを作ってみんなで着てレースに出たりしていました (笑)。仕事は仕事できちっとやりつつも、職場を離れたオフでも交流がある、というようにメリハリがついてましたね」
 
―雰囲気の良さが伝わってきますね。また、人が育つための環境が整備されているとのことなのですが、HPを拝見したらカウンセラー制度というのがあるそうですね。制度的にも非常にしっかりしているなと感じたのですが。
 
三木さん「そうですね。成長のための環境としては①PJ(プロジェクト)内でのOJT、②事業部ごとのカウンセラー制度、③人事部主催のセミナートレーニング、がありましたね。①については所属プロジェクトの中でチームリーダーや先輩社員に教わるといった形でのOJTです。そして②は、事業部内のマネージャークラスの人たちがカウンセラーを務めていて、この方たちが成長についてアドバイスしてくれたり、次に参加するPJの調整等も行っています。あとは、社内にインダストリー系からソリューション系まで幅広く勉強会があって、自主的に参加したり。
 
そして、人事部(採用や教育をつかさどっている部署)が取りまとめて開催している研修が③です。プレゼンやドキュメンテーションといったスキル系から、自動車業界入門といったインダストリー系までありました。すごいと思ったのは、こうしたトレーニングのマニュアルがほぼ内製化されていたことです。外部の研修と比べても質が高かったと思いますよ」
 
 
■そのファームの弱み・弱点
 
―では逆に、弱みや弱点はあるのでしょうか。
 
三木さん「強みの裏返しとも言えますが、業務・ITコンサルティングを得意とした人たちが多いため、企画や戦略系の人材が育ちにくいところがあると思います。あとはSI出身の方を除いては、さほどプログラミングといったシステム開発の下流工程に携わらないこともあるので、人によって技術レベルがまばらなところがあります。私も、外部設計書を書く機会はかなりありましたが、プログラミングは研修を受けたぐらいで実際のプロジェクトでやることがなかったり、で。アビームは企画と技術の間をつなぎ、描いた構想を実現させることが得意、平たく言えば『IT企画屋さん』。
 
 
■どんな人が向いている?向いていない?
 
―アビームにはどういった人が向いているとお考えでしょうか。
 
三木さん「じっくりスキルを磨いていきたい人に向いているかもしれませんね。アビームの場合、ITコンサルタントとして業務をスタートさせるキャリアが王道です。たとえば、販売管理システムの勉強をすると販売業務のこともわかってきて、そのシステム理解をもって業務インタビューに行き、クライアント担当者の個別業務をヒアリングし、理解をさらに深めていく。こうして業務の仕組み等を身に着けていきます。
 
あとは今になって強く感じていることなのですが、このときに身につけたITスキルは、たとえITコンサルティングには関心が高くなかったとしても、とても役立っているということです。1度、経験していると世の中の会社のITシステムがどういう連携をしているか、といったことがイメージしやすくなるので、お客さんの問題解決を考えるときも、これはITで解決できるな、ということがわかりますし。」
 
―採用の際にスキルは求められるのでしょうか。
 
三木さん「新卒採用では、技術スキルよりもコミュニケーション能力や人柄が重視されているように思います。」
 
―先ほどのお話であった、企画と技術の間をつなぐ『IT企画屋さん』のような仕事には、コミュニケーション能力が必要だということでしょうか。他に求められる能力はありますか。
 
三木さん「私はブランドマーケティングや新規事業といった分野は、問題解決能力やビジネスセンス、論理と直感と知識・経験を統合させて勝負する世界だと考えているのですが、IT企画にとってより重要なのはプロセスを作り、推進できることです。技術があったら、それを現実にどう落とし込んでいくか。推進にあたって直面する課題をどう処理していくか、など。コミュニケーション能力が必要になるのは、社内外の利害関係者間の調整機会がとても多いからです。自分が意図を伝えて満足するのではなく、相手に自分の意図をわかってもらい、行動してもらわないといけないので。また形になって初めて評価されるものなので、形にする力、やりきる力が求められるのではないでしょうか」
 
 
■ファームを卒業した理由
 
―ファームを卒業した理由を教えていただけますか。
 
三木さん「先ほどお話した、大きな会社のシステム導入や内部統制構築の支援に従事してきたのですが、システムの保守・運用といったビジネスに注力していく、といった全社方針を打ち出していました。つまり、システム開発の上流工程から下流工程まで一貫してサポートし、下流工程の支援を強化していく、と。入社から4年が経ち、そろそろコンピューターよりも人と向き合うような仕事がしたいな、といった思いが芽生え始めていました。
 
また働きながら感じていたのは、アビームのような大手コンサルに仕事を依頼しできるのは、多額のコンサルティングフィーを払えるような大きな会社が中心で、ベンチャーや小さな会社は支援することができない、ということでした。でも、多額のコンサルフィーを払えないような小さな会社の中にこそ、自分が力になれるような、助けを必要としている会社はたくさんあるのではないかと思ったんです。
 
当時は、企業の社会貢献についても興味を持ち始めた時期で、将来的にNPOを作りたい、あるいはNPOのコンサルティングをしたいと考えたのですが、アビームにずっといたとしてもNPOを作れるような人間にはなれないだろう、と思いました。そこで、退職することを決めました。」
 
 
■その他、未来の後輩へひと言
 
―では、最後に未来の後輩へ一言よろしいでしょうか。
 
三木さん「人生の物語の主人公は自分自身なので、ぜひ自分自身が輝ける場所を選んでほしいなと思います。」
 
―今日は本当にありがとうございました。
 
三木さん「ありがとうございました」
 
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みなさん、いかがだったでしょうか。
長くなってしまいましたが、最後までお楽しみいただけましたでしょうか。
 
同じコンサルでも組織文化が違うのはもちろんですが、
強みの違いによって、同じ「戦略」という商品でも意図することが違うんですね。
自動車のような製品だと想像しやすいですが、サービスでも同じように
価格帯や特徴が違うということに気を払っていかないと、と改めて気づかされました。
 
では、今回はここで失礼致します。
次回も楽しみにしていてください。
 
すずき