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コンサル入社 3ヶ月目

2013年10月25日

初プロジェクトにアサイン。上手く行った!でも複雑・・・
■コンサル入社3ヶ月目 証券会社のプロポーザルは、その後Kマネジャーの指導の元で何とか形になった。残念ながら案件は失注となってしまったが、僕自身はリサーチ、インタビュー、資料作成、など最低限の仕事を一通り終えることが出来て充実感たっぷりであった。 Kマネジャーが「俺はいつも新人の教育ばかりやらされてるよ、全く・・・とボヤいていたのを今でも覚えている。確かに、ピカピカに育った部下をメンバーに持つのと、入り立ての僕みたいなのを部下に持つのでは、労力は全然違う。自分が新人の時は何も思わなかった(というかそんなことを考える余裕も無かった)が、自分がメンバーや部下を持つようになってからは、Kマネジャーの気持ちが良くわかるようになった。 その他にも、書籍を書くための下調べの仕事や、海外からの調査依頼のお手伝いなど、細々したお手伝いをしながら3ヶ月が過ぎようとしていた。新卒で何も知らない自分としては立派に仕事をしているつもりであったが、周囲からは「高田君はちゃんとしたプロジェクトに入らずに、雑用ばっかりしているよね」とささやかれていたようである。 余談だが、コンサルという会社はちなみに、とてもうわさ話が好きな人が多い気がする。「誰はバリューが出ている」とか、「誰と誰は仲が悪い」とか、プロフェッショナル職だけではなくセクレタリーからアドミスタッフまで、よってたかってそんな話をしていた気がする。コンサル会社の場合、50人コンサルタントがいれば、50人が全く同じ「コンサルティング」という仕事をしている訳なので、「誰がどうだ」という比較をしやすいからかもしれない。僕自身はこれを「値踏みカルチャー」という言い方をしているが、とにかく「誰がいい」とか「誰がダメだ」とか、色々言われる世界なのである。 --- 1998年11月。そうこうしているうちに、また声がかかった。「高田君、ある会社のプロジェクトがあるんだが、スポットでちょっと入ってもらえないかな」 スポットで入るというのは、プロジェクトの最初から最後まで入るのではなく、一部分だけをお手伝いするという意味である。新人などでまだあまり出来ない人の場合、「様子見」ということで一部を手伝わせるというイメージだ。 仕事の内容は、「オムロンを調べて」ということだった。前回「カザノブ証券を調べて」と言われて痛い目にあっているので、今回は慎重だ。 「あの、調べるって何をどう調べたら良いのでしょうか?」 「今のクライアントで新しい事業をやろう_箸靴討い襪鵑世_△修了_箸__爛蹈鵑了_販琉茲判鼎覆辰洞ス腓靴討靴泙Δ鵑犬磴覆い_箸いΠ娶___薀ぅ▲鵐箸_藹个討い襪鵑世茵_世_蕁△修譴_鼎覆蠅修Δ覆里_⊇鼎覆蕕覆い里_△修海鯆瓦戮討發蕕い燭い鵑澄__ 「なるほど。新しい事業って、どんな事業なんでしょう・・・?」 「そうだな、そこはじゃあ時間を取ってきちんと共有化するよ。今は時間がないから、今日の15時から1時間ぐらい、打ち合わせしよう。それまでに、出来る下調べはやっておいてね」 「わかりました」。今度は上手く対処することが出来た。 ちなみに補足であるが、コンサル若手は「調べといて」というお願いをされることが非常に多い。ここで闇雲に何も考えず調べると「何調べてんだよ!馬鹿野郎!」と叱られることになる。ビジネススキル的に言えば、「調べる」というのは「検証」に位置付けられる。目的、論点、仮説、検証、そして示唆という、仮説思考の流れが頭に入っていないと対処出来ない。 今回も、調べる目的は何なのか、をまず知る必要がある。次に論点、即ち「意思決定に必要となる項目のうち、今議論のポイントとなっており、相手が情報を持っていない所」はどこか、を知る。仮説は弱い時もあるが、「○○の領域でオムロンとクライアントは競合するのではないか」という、自分なりのストーリーを持つ。そして検証として、「調べる」という行為があり、調べたら当然、示唆を「まとめ」として作る、という流れ。 余談だが、「示唆を出す」という意味が、僕はずっとわからずに苦労した。「ちょっと調べて示唆出しといて」とお願いをされることが多かったのだが、「示唆を出すって、何を出せば良いんですか?」とトンチンカンな質問をして、よく怒られた。 示唆というのは、「論点に対して、情報に基づいて自分なりに答える、元の仮説よりも絞り込まれた答え」のこと。情報に基づいていないと、単なる「ヤマカン」になってしまうが、情報にしか基づいていないと「見りゃわかる」という答えになる。発想をどの程度飛躍させるのか、飛躍のさせ方が難しい。そこが、コンサルタントの腕の見せ所なのである。 --- その時、僕の上司になったのが、Sマネジャーである。この先輩は、僕は今でも人生で1・2を争う「尊敬している人」で、この前うちの会社で「後輩指導」というケースを書いた時には、この先輩のことを思い出して書いた。そのぐらい、尊敬している先輩だ。 その後、Sマネジャーからプロジェクトの状況の共有を受けて、目的、論点、現時点での仮説などを教えてもらい、具体的な検証作業のイメージも話し合ってから、僕は作業に取りかかった。2~3日調べてSマネジャーの所に持って行くと「短期間でこれだけ良く調べたな!よし、じゃあこうやってまとめよう」ということでまとめ紙のイメージを教えてくれたので、その通りに僕は作成した。 インターナルミーティング(社内での下打ち合わせ)でも、僕の作った資料はディレクターに大好評。「おお、高田君やるじゃない」と誉められ、「お客さんにもプレゼンしてみるかい?」ということで、急遽客先デビューも決まる。 初めてのプレゼンということで、資料に「こんなことをしゃべる」と赤で書き込み、前日に何回も練習をして、当日に臨んだが、それでも緊張で全然しゃべれなくなってしまい、Sマネジャーに助けてもらって、何とか無事にクライアント報告までを終えることが出来た。 ちなみに。実はこれ、僕が優れているのではなく、お気付きの通りSマネジャーが優れているのである。新卒の僕が、何がわからないのか。どう教えて、どう指示すれば動けるのか。そこをもの凄く的確に把握していたから、当時の入り立て2ヶ月の僕でもバリューが出せるような作業を設計し、指示を出し、フォローをしてくれていた訳である。 このことに気付いたのは、Sマネジャーが辞めてしまって、自分一人になってからのことである。それまで凄く上手くバリューが出せていたのに、突然バリューが出せなくなってしまって、スランプに陥った時期があるのだが、その時に色々と考えて気が付いた。「僕が出来るようになったと思っていたのは勘違い、思い上がりで、実はSマネジャーの手のひらの上で踊らせてもらっていただけなんだ」と。 --- そんなこんなで、初プロジェクトの初タスクはとても上手く行った。 そこで僕にまた声がかかった。「高田君、このプロジェクトに正式に入るかい?」僕は喜んで「入ります!」と答えた。 しかし、実はそこには複雑な事情があった。このプロジェクトにはもう一名、アナリストがアサインされていた。その彼がどうやら上手くバリューが出せていなかったようなのである。僕が入る代わりに、彼が外されることになったのである。 彼はとても気遣いがあって優しい人だった。しかし身体が弱めということもあり、無理が利かなかったようである。そもそものタスク量が多かったのかもしれないが・・・。 余談であるが、昔のブログにも書いている通り、僕はどうやら体力がかなりあるらしい。運動が出来るということではなく、無茶がきくということだ。今年35を越えてきてさすがに体力の衰えを感じるが、不眠不休でも病気せず、脳がそれなりに稼働するというのは自分の強みだったのかもしれない。(ただ、なぜか食中毒に、よくかかる。人生でこれまで5回も食中毒になった・・・。変なものを食べている訳ではなく、むしろ生ものや古いものは極力食べないよう気をつけているのに。それ以外は病気はしない) 僕が入った時、彼は「高田君、ちゃんとしたプロジェクトにやっと入れて良かったじゃん!これまではお手伝いばっかりだったからね。しっかり頑張りなよ!」と言ってくれた。自分が外されることになったのに。なんでそんな優しいんだろう? 僕はとても複雑な気持ちになった。 ・初めてちゃんとしたプロジェクトに入れて嬉しい! ・僕はもしかして、この彼よりも、イケてるってこと!? ・でも外されてしまった彼には本当に申し訳ない・・・ ・というか自分は本当にこの仕事、出来るんだろうか??? それまでに感じたことのない、何とも色んな感情が交ざった複雑な気持ち。でも、これこそがコンサルの弱肉強食の世界とうことなのだろう。 ちなみに、1年ほど経ってからこの全く逆の出来事が発生する。つまり、僕が実質的に外されて、僕の同期がアサインされる・・・という出来事が。その時にもまた複雑な気持ちを持つことになるのだが、そうやって「バランス感覚」が磨かれていくのかもしれない。