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フレームワーク

2013年10月25日

3C、4P、7S、・・・ビジネスの実践で使える「フレームワーク」って皆さんどのぐらいご存知ですか?
 私は入社してずっと「フレームワーク」という概念が掴めなかった。3Cだの4Pだの言われても全くピンと来ない。「フレームワークって何ですか」とシニアの人に質問したら、「フレームワークとは枠組みだよ!」と言う答えが返って来て余計に混乱した覚えがある。その後も「3Cと4Pってどう違うんですか?」とか「7Sと3Cの関係って何ですか?」とか、随分と傍目から見るとトンチンカンな質問を続けていたようだ。  コンサルで数年間過ごすうちに、私も気付いたら「フレームワーク」という言葉を無意識のうちに連発するようになっていたようだ。最近逆に「フレームワークって何ですか」と聞かれることが多い。  フレームワークとは「物事を漏れなくダブりなく(つまりMECE:ミーシーに)考えるための枠組み」である。「枠組み」とは何かというと、「物事を考える上での視点・切り口」のようなもの。もう少し言えば「ある具体的な出来事を要約してまとめた概念の集まり」みたいなものだ。何となくおわかり頂けるだろうか。  実はこの「漏れなく」というのはクセモノである。漏れを議論するためには「全体」が担保されていなければならないのだが、自分で「これで全部だ!」と思っていたとしても、大きく何かが抜けていることは良くあるからだ。「抜け漏れ」や「重複」はすぐわかるのだが、「全体の捉え違い」というのは自力で発見するのは非常に難しい。  ここで活躍するのが「フレームワーク」である。フレームワークとは「お手軽MECEツール」とでも呼ぼうか。誰でも手軽にMECEが作れるという、レトルト食品並みに便利なツールである。世の中に広く「それはMECEである」と認知されているので、役員であろうが外国人であろうが面接官であろうが、ケチを付けることは出来ない。「3Cで切ると」「4Pで分析すると」と言った瞬間に、誰もが「漏れなくダブりない」と認めてくれる、水戸黄門の印籠のような存在だ。  だがこの「フレームワーク」にも弱点がある。それは「使う局面が違うと使えない」ということだ。例えば4Pというのは「マーケティング」をミーシーする(造語)ためのフレームワークである。3Cというのは「事業環境」をミーシーするものだ。これを誤って違う局面で使ってしまうと、全く筋違いということになる。  いつもネタで良く言うのだが、5Sというフレームワークがある。「整理、整頓、清掃、清潔、躾」である。これは「工場などの現場管理のフレームワーク」であるが、並び順も大切らしく「整理、整頓、清潔、躾、清掃」とか間違った順番で言うと「ダメだ!」と怒られる。現場系の方々には、全ての問題をこの「5S」で解こうとする人がいる。何を分析するにも「5S」である。「競合製品に負けている」というのは「躾の問題」。「顧客満足が下がっている」のは「清潔の問題」など。何でも5Sで解ければ苦労しない。こういうのは誤った使い方である。 ---  ここからが本題だ。このお手軽MECEツールである「フレームワーク」であるが、皆さんどんなものをご存知だろうか。私が思いつくものを書いてみよう。 と思ったが、それほど珍しいものをたくさん知っている訳でもないし、思い出しながら書くと時間がかかるので、やめて書きたいことを書く。  前職時代に「SPRO」というフレームワークがあった。「スプロ」と読む。Strategy、Process、Resource、Organization、という枠組みで「経営の枠組み」という位置づけであった。この「SPRO」はSとPとRとOの4つしかなく、7つある「マッキンゼーの7S」と比べるとかなり荒削りではあるが、使い勝手は悪くない。だいたいどんな話でも、SかPかRかOのどこかに収まってくれる。困った時の神頼み的な存在で、だいたい資料の最初か最後にはSPROが鎮座していた。  しかし最近、「ストラテジーの次がプロセス」という部分に大きな疑問を持つようになった。コンサル時代は「まず戦略を決めて、それを業務プロセスに落とし込み、リソース配分を考えて、組織を作る」という流れで、全然違和感がなかったのだが、事業会社で実際に仕事をしていて感じるのは、 「戦略を作った後は、責任者を決めるんじゃないか?」 ということである。プロセスというのはご存知の通り、誰がどこに何を持っていくだとか、どこの誰とどこの誰がどんな話し合いをして何をまとめるだとか、そういった「箸の上げ下げ系」の細かい話である。コンサル時代は「戦略を作っても、それをきちんと業務プロセスに落とし込まなければ動かない」と考えていたが、事業会社の企画をやっていると「そんな細かいことまで指示されたくない」という現場の思いがヒシヒシと伝わってくる。企画屋がプロセスを一生懸命作った所で、結局は組織の責任者が部下に対して「こうしろ!」と指示を出さない限り、組織は動かない。そう考えるとやはり、まず戦略を作るのだが、その次には責任者を決め、その責任者を組織図上の動きやすい位置に据えて、兵隊となる人員を付けて、あとはガイドライン程度を提示した上で「ご自由に考えて下さい!」というのが現実的な進め方のような気がする。 戦略→責任者→組織→リソース→プロセスの方針ごと という感じだろうか。 それから話は変わるが、やはり「戦略」の上位概念である「企業理念」や「方針」は大切である。ここが固まっていないと、幾ら作った戦略を下からファクトで固定しようとしても、上がブラブラと動いてしまう。上は理念で、下はファクトで、2カ所で固定されて初めて戦略は不動のものとなるのだ。 こちらについては、また日を改めて書くことにする。